コネクタ用部品製作に使用される精密プレス金型及びプラスチック金型の設計・製作・組立を手掛けている富士航空電子株式会社では、製造部門含めた各部門の業務を効率化して本来やるべき業務に注力できる環境整備を進めつつ、持続可能な業務基盤への刷新を進めている。そこで、これまでExcelで実施してきた情報共有やVBAを駆使した業務アプリの環境から脱却するために、「Forguncy」を活用している。その経緯について総務部 情報システムグループ 鳥塚 葉子氏にお話を伺った。
【選定】
使っていて楽しそう、開発素人のメンバーでも形にできたForguncy
鳥塚氏の根底にあったのは、パソコンの素人であっても運用していける環境づくりだった。展示会などに足繁く通いながら検討する過程で出会ったのが、メシウスの「Forguncy」だった。「最初はExcelのような見た目に注目しましたが、操作性に関しては当初は懐疑的だったのが正直なところです。しかし、話を聞いてみると本当にExcelに近い形で活用できることが分かったのです」と鳥塚氏。
Forguncy以外の複数ソリューションを持ち帰って比較検討したうえで、一緒にソフト選定を手伝ってくれていた“開発素人”のメンバー2人に使ってもらったという。「ある意味で丸投げしてみたところ、形になるものが返ってきたのがForguncyだけでした」。
開発メンバー2人に共通していたのは、とにかく楽しそうだったこと。「開発未経験でも作れるということ、そして自分が思っていた感じのアプリが作れたことがうれしかったようです。何より楽しくないと続きませんから」と鳥塚氏は振り返る。
社内のWebサーバに環境を用意するだけですぐに使えたことも大きな後押しとなり、最終的にExcelに変わる新たな業務基盤としてForguncy採用を決断したのだ。
Forguncy選定のポイント
- Excelライクな見た目と操作性
- 標準機能の範囲内で開発未経験者がアプリケーション開発できた
- オンプレミスで利用できる
【効果】
部門横断的な業務基盤として拡張を続けるForguncy
受注から製造までの業務プロセス管理を実現、見積提出までのワークフローも実装
導入して2年ほどが経過した現在、本社および拠点含めてアプリ開発者が6名ほどにまで広がっており、アプリの種類は、枝葉のアプリまで含めると20はゆうに超える規模になっている。
金型管理台帳アプリは、受注部門である設備管理部や手配を担当する部門、部品加工部門、テスト部門など、ものづくりに関わる全ての部門での予実管理が可能になっているもので、単なる工程管理に留まらない幅広い仕組みだ。親会社から受注した際に案件登録が行われると、各部門の上長がプロセスごとに予定の納期を記載していき、それらの進捗を実績として投入していくことで全体の工程が管理できる。「整形機などの稼働予定を把握する負荷表なども備わっており、この台帳を中心に日々調整が行われています」と鳥塚氏は説明する。システム化により排他制御問題が解決し、今は適切なタイミングで上長が入力できるため、現場からは好評だという。
▲ 案件ごとに進捗を確認する金型管理台帳アプリ
見積台帳アプリでは、担当者が作成した案件に関する見積書を上長が承認していき、電子押印したものを見積書として作成、依頼のあった親会社の担当者とアプリ共有したうえで内容を確認してもらう運用となっている。「従来は見積書を作成して上長にメールで確認し、先方にメールで送って確認してもらうという作業を繰り返していましたが、この台帳アプリで親会社とも情報共有が容易になり、見積確認までのタイムラグは大幅に減らせています」と鳥塚氏は評価する。
▲ 見積台帳アプリでレスポンス性向上
部品製造部で運用している在庫管理アプリでは、製造に必要な部品の在庫が一覧で管理されており、最低在庫数を下回ると自動的に上長へメールが送られ、見積書を取引先から取得して上長の承認を経ると購買部に通知が飛び、発注を行うプロセスとなっている。「以前はメールなど人手でのやり取りが中心だったことで時間を要していましたが、Forguncyによって発注プロセスが自動化され、リードタイムを短縮することができました」と評価。現場からも、購買部門が発注しているのか、いつ部材が入荷予定なのかといった情報が可視化され、問い合わせの工数も確実に軽減できていると好評だ。発注プロセスの自動化に合わせて見積書の保管も電子化するなど電子帳簿保存法への対応にも適用できたという。
▲ 在庫管理と発注業務を自動化
Forguncyでのアプリ作成は、基本的には開発メンバーが自己学習しながら進めている。「開発メンバーが行き詰まってしまった場合は、私に相談がきます。例えばカレンダーやガントチャートなどの見た目が必要になった際には、私のほうでサンプルアプリを作成して、それをアレンジしてもらっています」と鳥塚氏。開発メンバーだけがアクセスできるポータルサイトを用意し、そこにサンプルを掲載するなど、より高度な実装もメンバーだけでアプリ作成可能な環境を整えている。
業務基盤の属人性を低減、情報連携の強力なツールとして効果を実感
ForguncyにてExcelを中心とした業務プロセスから脱却したことで、業務基盤の属人性が低減されたことが何よりも大きいと鳥塚氏は力説する。「開発メンバーにとっては分からないことも多いはずですが、予想以上にすごいアプリを独自で作成できたことを考えると、保守メンテナンスも含めて私に頼らずとも運用していけるはず。」と鳥塚氏。「現場としては、パソコンを使って業務効率化していくことに抵抗感があったはずですが、実際に効果を示していけたことでDXを具体的に進めていくイメージは持ってもらえたはず」。
また、効率化という視点では、部門横断的に情報連携がとても迅速になったという。「排他制御の関係で同時に編集できないといった不満の解消とともに、情報連携の効果は大きなものになっています」。
情報連携基盤としてのForguncyに対する評価は現場からも多く寄せられている状況だ。「在庫管理アプリで言えば、発注処理までのプロセスが簡素化されたことで、月100枚ほど印刷していた見積書が不要になり、外部業者とのやりとりに必要なメール作成や購買部への依頼作業など手間がかかっていた部分の工数を削減、二重発注を防止できるようになりました。これによって年間94万円弱のコスト削減を試算しているなど、定量的な効果もしっかり出ています」と鳥塚氏は評価する。
Forguncyでさらなる効率化を推進、周辺システムとの連携も加速させたい
今後については、改めて社内の情報整理を進めていきながら、今でもExcelで行われている業務を洗い出したうえで取捨選択しながらアプリ化していきたいという。「我々としてもさらにスキルを磨いたうえで現場の話を聞き、ExcelではなくForguncyのほうが効率化するといった提案がしっかりできるようにしていきたい。離れている拠点もあるため、情報連携の効率化に寄与する使い方を見つけていきたいところです」と鳥塚氏は意欲的だ。設計や製造など本来の業務に注力できるよう、最終的には事務工数の半減を目指していきたいという。
また、現在は各部門に開発メンバーが点在しているが、まだ不在の部門もいるため、さらに開発メンバーを増やしていくことで、全社的なDXをさらに推し進めていきたいという。「グループ全体のシステムとの連携は我々だけで独自に進めることは難しいため、色々相談しながら進めていきたい。また、親会社や他のグループ会社で興味を持ってもらえるところがあれば、業務効率化に貢献するForguncyの展開は十分考えられます」と今後について鳥塚氏に語っていただいた。