※ 事例公開日:2020年1月22日
※ 事例記事の内容や所属は取材当時のものです。
ビルの外壁点検や、マンションの補修工事などで見かける仮設ゴンドラのレンタル事業を行っているトーヨーカネツビルテックは大阪と福岡を中心にビジネスを展開しています。それぞれの拠点ではExcelでゴンドラの稼働状況を管理していましたが、業務の拡大に伴い、稼働状況データの更新に課題が生じていました。同社ではExcelによるゴンドラ管理をForguncyで行うことにより、リアルタイムでのゴンドラ管理の実現に加え、運用管理の最適化により、稼働率向上も実現しました。同社で開発にあたった業務部の比留間 宏忠氏と辺見 智宏氏、さらに実際の開発を担当したアネステック社の有働 亮次氏、神山 幸加氏にお話を伺いました。
【課題】短期間で手入力のゴンドラ台帳をWebアプリに移行したい
手入力のExcel台帳では管理の限界に
「当社でレンタルしている作業用の仮設ゴンドラは、大きなものでは5.4m幅のものから、小さなものでは1人乗り用のものまでさまざまで、レンタル期間も1日から数ケ月と幅があり、お客様の工事の進捗によりレンタル期間が延長されることも珍しくありません。」と、仮設ゴンドラ事業の特長を説明するのは業務部の比留間氏です。
「ゴンドラは屋外で使用するので、天候の影響で工期が延びれば、次のお客様に影響が出ます。業務の拡大に伴って、Excelでのゴンドラ稼働台帳を管理することには限界を感じていました。」と業務部の辺見氏は当時を振り返ります。
トーヨーカネツビルテック株式会社 業務部
課長 比留間 宏忠氏
なにか対策が必要だというのは、共通認識でしたが、フルスクラッチでゴンドラ管理システムを構築するには費用対効果が小さい、かといって内製化するには専任者もおらず、ほかの業務と兼務のためになかなか取りかかれないといった状況が続いていました。
状況を変えたのは経営層の決断でした。「10月までにゴンドラ稼働台帳をシステム化すること」が比留間氏と辺見氏に指示されたのは2018年3月でした。
Forguncy導入前の課題
- 手入力のために、更新遅れ、更新ミスが生じる
- 工期変更への対応など、更新頻度が高い
- 正確な稼働状況・予約状況を把握できない
【選定】複雑なゴンドラの運用管理に適切なツールとは?
入出庫管理から、レンタルの予約、定期点検まで
同社では、当時、大阪支店が約250台、福岡支店が約180台のゴンドラを所有し、拠点ごとに10名ほどの担当者がゴンドラ稼働台帳にアクセスし、閲覧・更新を行っていました。
「ゴンドラの管理は配車管理にも似ていて、既存の工程管理ソフトや工事管理ソフトではうまく運用できません。2人とも、AccessやFileMakerなどのデータベースソフトを使った経験があるので、内製化することを前提にツール選定を行いました。」(辺見氏)
「複数名が同時にアクセスすることもあり、AccessやFileMakerではなく、Webデータベースアプリを開発するツールを探し、『Forguncy』を含む3製品が最終候補に残りました。」(辺見氏)
トーヨーカネツビルテック株式会社 業務部
課長 辺見 智宏氏
いずれもノンプログラミングで開発できることを特長とするツールですが、『Forguncy』を選択した第1の理由を「汎用性が高いこと。」と辺見氏は言い切ります。画面レイアウトやデータベース設計の自由度が高いことは『Forguncy』の特長の1つです。また、ゴンドラ管理に関わるワークフローと連動させる必要もあります。
外部データベースとの連携など、機能の拡張性が高い点も評価されました。
Forguncy選定のポイント
- 複数ユーザーの同時アクセスがスムーズ
- ゴンドラ運用に即した柔軟なデータベース設計が可能
- ワークフローに対応したシステム構築が可能
【開発】実質1ケ月の開発期間で、ゴンドラ稼働台帳システムを構築
最小限の設計ドキュメントと綿密な打ち合わせにより短期間で開発
当初は内製を想定していたため、辺見氏と比留間氏が『Forguncy』のパートナー企業であるアネステック社から、導入教育と技術相談・技術支援などのサポートを受け始めたのは2018年5月でした。
「『Forguncy』の使い方を学びながら、画面設計や機能設計を進めていきました。基本はExcelの画面の再現ですが、ワークフローと連携させて、ゴンドラ管理に関する一連の業務をWebアプリ上で行いたいと考えました。」(比留間氏)
しかし、開発の技術面を担当する辺見氏が、他の業務の増加により、ゴンドラ稼働台帳システムに割ける時間の確保が難しくなっていきます。
「ゴンドラ毎にどの現場で稼働しているのか、次の予定はどこか、メンテナンスや点検はいつか、などの複数のステータスを示す必要があります。これを一覧表示させようとしたのですが、10月までの限られた時間では実現は難しいと判断しました。そこで、急遽、アネステック社に開発を依頼することにしました。」と比留間氏は方針を変更した理由を打ち明けます。
アネステック社の有働氏は「それまでの技術支援でシステムの概要が見えていたこと、『Forguncy』での開発であれば、短期間での開発が可能なこと。なにより、優先度の高い機能を先行して開発すると決断していただいたので、チャレンジングな案件でしたがお引き受けしました。」と当時の状況を話します。
「設計ドキュメントの作成を最小限に抑えたことも短期間での開発を可能にしました。数時間ずつですが、3日間、集中して打ち合わせを行い、画面の遷移や機能設計などの詳細を決められたことも、大きな要因でした。」とアネステック社の神山氏は成功の要因を分析します。
株式会社アネステック
システムソリューション本部長
有働 亮次氏
実質的な開発期間は9月の1ケ月間だけで、さらにそのうちの2週間はテスト期間に充てられました。こうして『Forguncy』によるゴンドラ稼働台帳システムは経営層が要求した期間内に完成させることができ、11月からの試験運用を経て、12月には本番運用が開始されました。
RFIDを利用したゴンドラの「棚卸し」システムとも連携
トーヨーカネツグループでは物流をビジネスの柱の1つにしています。
「ゴンドラ稼働台帳システムの本番運用が始まった頃、RFIDを使ったゴンドラの入出庫システムを構築するという方針が打ち出されました。」(比留間氏)
当時、ゴンドラの「棚卸し」は、倉庫に保管されているゴンドラの登録番号を目視で読み取る必要がありました。屋外で使用されるゴンドラの登録番号が摩耗などにより読み取りにくかったり、積上げて保管されているため担当者がゴンドラによじ登る必要があったりと、半日がかりの作業になっていました。ゴンドラは金属製のため、特殊なRFIDを利用した読み取りシステムが開発されましたが、ゴンドラの入出庫管理システムと稼働台帳を連携させたいという要望はごく自然な流れでした。Webデータベースアプリには、ツールの内部にデータベースを持つタイプもあります。その場合、接続アプリを別途開発するなど、「ひと手間」をかける必要が生じる場合が少なくありません。
「入出庫管理システムは独自のデータベースを有してしていますが、『Forguncy』は外部DBとの連携が可能なため入出庫管理システムとのデータ連携は非常にスムーズでした。」と神山氏は『Forguncy』の外部DB連携などの拡張性を高く評価しています。
株式会社アネステック
システムソリューション本部
神山 幸加氏
Forguncy開発のポイントのまとめ
- 仕様を共有していた、ドキュメントを減らすなどで開発期間の短縮を実現
- Forguncyの開発環境は生産性が高く、1ケ月で開発が完了
- 外部データベースとの連携など、拡張性が高い
【効果】Forguncyにより、ゴンドラの稼働状況をリアルタイムで把握
最新の稼働状況を一覧できるので、商談もスムーズに
具体的な数字で示すことはできないのですが、と前置きしながらも、「ゴンドラ稼働台帳システムの構築によって、営業担当者が契約申請、出庫申請など、ステータスごとに入力、稼働状況が将来の予定まで含めて、リアルタイムで閲覧できるようになりました。確実で余裕を持ったスケジュールを組めるようになったので、お客様に稼働状況に合わせた提案を行う際もスムーズです。稼働状況が確実に反映されるため、ゴンドラの稼働率も向上しています。」(比留間氏)とシステムの導入効果を評価します。 また、RFIDによるゴンドラ入出庫管理は、読み取りシステムの開発により、半日がかりだった棚卸業務が10分ほどで済むようになり、さらに自動で稼働台帳に反映されるため、入力などの手間はゼロになったといいます。
Forguncy導入効果のポイントまとめ
- ゴンドラ管理の一連の作業を自動化
- リアルタイム管理による業務の効率化
- RFIDによる棚卸しシステムとの連携によりさらに効率化
【今後の展望】社内の情報共有ツールとして期待できるForguncy
変更頻度の高いデータベースへの適用を検討
ゴンドラ管理の効率化で大きな成果をあげ、「役員会でも高く評価されました」(比留間氏)というForguncyですが、トーヨーカネツビルテックでは、ゴンドラ管理以外にもForguncyを活用しようという動きがあるようです。
「同じデータを異なる部署が持っている場合が少なくありません。『Forguncy』を活用すれば、社内の情報共有を促進、効率化できるのではないかと期待しています。」(辺見氏)
また、今回の事例は開発会社にとっても貴重な経験になったようです。
「さまざまな工夫をし、お客様としっかりと連携し、さらに『Forguncy』を使うことで、従来では難しかった短期間、低コストでのシステム開発が可能なことが分かりました。今後の当社のビジネスの大きな推進力になると期待しています。」(有働氏)
比留間氏は、ゴンドラ管理についても、「やりたいことはまだまだたくさんある」と話します。『Forguncy』を活用したシステム構築は次のフェーズに進み、一層の効率化に貢献することが期待されます。
全体まとめ
- Excelと同様の画面で、ゴンドラ管理をWebアプリへ移行
- 開発会社との連携により短期間での開発を実現
- システムの拡張性が高く、他システムとの連携・機能拡張が容易
トーヨーカネツビルテック株式会社様
所在地 |
〒136-8666 東京都江東区南砂2丁目11番1号 |
主な事業 |
- 建築事業部
共同住宅、福祉関連施設等の総合建築他、メガソーラー関連施設、鋼管杭
- 仮設機材事業
・仮設工事用「ゴンドラ」のレンタル及び据付(大阪支店・福岡支店)
・足場材のレンタル及び据付
|
設立日 |
昭和60年9月13日 |
URL |
http://www.web-tkb.com/ |
この事例の導入支援パートナー
株式会社アネステック
当社は様々な業種と分野に対して、コンサルティングから開発、運用・保守までワンストップで提供しております。Forguncyを使用した業務アプリ開発実績も多数ございます。