カルビー株式会社様

ForguncyでExcel業務をシステム化。ノーコードでIT未経験の業務担当者でもシステムを構築できるForguncyは外部DB連携など拡張性の高さが魅力。

カルビー株式会社様

※ 事例公開日:2024年03月19日
※ 事例記事の内容や所属は取材当時のものです。

ポテトチップスに代表されるスナック菓子やシリアル食品の製造販売を手掛けているカルビー株式会社では、基幹システムに収まりきらない周辺業務に利用してきたExcelをシステム化することで業務効率化を図るべく、使い勝手に優れているだけでなく拡張性に富んだメシウス(旧グレープシティ)のForguncyを選択している。その経緯について、DX推進本部 情報システム部 部長 稲手 信吾氏および同部 システム企画課 課長 井原 史晶氏にお話を伺った。

【課題】現場に残るExcelでの非効率な業務、改善に向けたアプローチを検討

1949年に創立、「掘りだそう、自然の力。」をコーポレートメッセージに据え、自然の恵みを大切に活かしながらおいしさと楽しさを創造し、人々の健やかなくらしへ貢献し続けているカルビー株式会社。市場で高いシェアを持つポテトチップスやスナック菓子、シリアル食品などを幅広く手掛けており、日本のみならず、アメリカやアジア、欧州などグローバル市場に向けて商品を展開。現在は2030ビジョン「Next Calbee&Beyond」を掲げ、海外市場と新たな食領域を成長の軸として「Change 2025」と名付けた2025年度までの3ヵ年変革プランにより収益力強化や事業ポートフォリオ変革、事業基盤強化に取り組んでいる。

そんな同社では、2016年に基幹システムを刷新。会計や販売、物流など多くの業務領域でシステムが整備された。しかし、基幹システム範囲外の周辺業務については、紙やExcelなどによる、煩雑な手作業の業務が数多く残っているという。

従業員の生産性向上をミッションとする情報システム部では、”作業から仕事へ”を合言葉に、このような周辺業務の効率化に向けたシステム基盤の整備を推進してきた。
各部署にヒアリングし、約200件の課題をリスト化。それらをシステムで解決するため、RPAやワークフローシステムなどを順次導入したが、一部のExcel業務については、システムによる改善が難しかったと稲手氏。

「本社の管理部門が、Excelファイルを工場や支店などに配って、データを入力してもらった後に回収し、それを転記・集計する業務があります。システムによって、手作業の配布・転記・集計などを自動化できないか検討しましたが、複雑なフォーマットのものが多く、RPAでは十分に対応できません。かといって通常のWebシステムを構築しても、画面UIが複雑になり、Excelと比べて入力しづらいものになってしまいます。UIをExcelにしてインポート機能をシステムに持たせることもできますが、そうすると開発規模が大きくなり、費用対効果を得られなくなります。ひとつひとつのExcel業務の規模は大きくないため、あまりコストをかけずにシステム化することが求められます。このような、ExcelライクなUIのシステムをどうにかして簡易的に導入できないか、ここ数年悩んでいました。」とのこと。

DX推進本部 情報システム部 部長 稲手 信吾様

DX推進本部 情報システム部 部長
稲手 信吾様

導入前の課題

Forguncy導入前の課題

  • ”作業から仕事へ”を合言葉にシステム部門では従業員の生産性向上を目指していた
  • 各部署からExcelや紙による業務課題が200以上も寄せられていた
  • 従業員の生産性向上のためデータの転記や集約業務のシステム化を検討

【選定】大規模に展開しやすい同時接続ライセンス、入力のしやすさや高い拡張性を評価

Excel業務をうまくシステム化できるツールを模索し、いくつかのソリューションを検討することになり注目したのが、メシウスが提供するノーコードのWebアプリ開発ツールであるForguncyだった。

Forguncyについては2017年ごろ製品の需給計画を管理するアプリケーションのフロントシステムとして活用していたExcelをWebUIに切り替えることを検討した際にその存在を知ったそうで、当時は導入には至らなかったが、今回新たにExcel業務の効率化に向けたプロジェクトが始動したタイミングで、Forguncyを候補の1つに挙げたのだと井原氏は経緯について振り返る。

DX推進本部 情報システム部 システム企画課 課長 井原 史晶様

DX推進本部 情報システム部 システム企画課 課長
井原 史晶様

Forguncy以外にも、複数のローコード・ノーコードツールやExcelライクを謳ったツールが選定候補に挙がったが、機能面やライセンスの考え方など同社に最適だったのがForguncyだった。

「ExcelのようなUIで、複数の行・列に一動作でまとめて入力できること、インポート・エクスポート機能を簡単に実装できること、関数や画像がついたままの状態でエクスポートができることなど、求めていた機能のほとんどが備わっていることに驚きました。また、外部のDBに接続することで、既存の社内システムのマスタを参照させたり、大量データを扱う大規模なシステムとしても拡張できる点は魅力的でした。ライセンス体系やオンプレミスで動かせる点なども含め、我々に最適なソリューションと判断しました」と稲手氏。

Forguncyの新規作成画面。Excelライクなのでプログラム経験がなくても親しみやすい
▲ Forguncyの新規作成画面。Excelライクなのでプログラム経験がなくても親しみやすい
Forguncyのテーブル概念。外部DBとの連携に優れ、複数のシステムとの組み合わせが柔軟
▲ Forguncyのテーブル概念。外部DBとの連携に優れ、複数のシステムとの組み合わせが柔軟

井原氏も「社内にサーバーを立てて運用できれば他システムとの連携もしやすく、自社内でデータ管理など情報がマネージできる。セキュリティ的にもメリットがあると考えたのです」と評価する。

当初は情報システム部門で内製化するツールとして検討していたが、将来的には現場ユーザ自身がアプリ作成できる可能性もあると考え、既存のExcel業務をシステム化するツールとして、Forguncyが選択されることになった。

【効果】カルビーグループにおけるDX推進を下支えするForguncy

営業や工場など各部署に広がるForguncy、IT経験がないメンバーでもアプリ開発を実現

現在は、同社のDX推進本部は、情報システム部とDX推進部で構成される。Forguncy導入に関しては、情報システム部が基盤の整備や、複数部署にまたがって利用される規模の大きいシステムの構築・運用を担当。DX推進部は、現場に出向き、業務部門にForguncyを広め教育していく役割を担い、両部が二人三脚で活用を推進している。情報システム部がForguncyで構築したシステムの一例を挙げると、各営業担当者が顧客・商品群ごとの売上見通しを毎月入力し管理する「販売見通し管理システム」がある。入力インターフェースとしてForguncyを利用して外部のDBにデータを登録する。営業部門以外の社員も、入力結果をMicrosoft PowerBIで閲覧できる環境を整備している。

「Forguncyを通じて外部のDBに売上の見通しを溜めることで、他のツールで情報を二次利用できるのは、以前のExcelではできなかったこと。まさにシステム化する大きなメリットの1つとなっています」と稲手氏。

導入後の効果

他にも、営業部門と商品企画を手掛けるマーケティング部門で利用しているのが、販促物やノベルティの作成数量や納期に関する依頼を管理する販促物管理システムで、それぞれの販促物が写真入りで表示されている。以前はマーケティング部が営業部門にExcelシートを配布し、必要数や納期管理していたとのこと。Forguncyに置き換えることで、Excelに入力されたデータの転記や集計などの手作業が不要になった。

営業部門とマーケティング部で利用している販促物の管理システム
▲ 営業部門とマーケティング部で利用している販促物の管理システム

さらに、工場部門が開発したアプリもある。それが、合成ゴム素材から作られた使い捨てのニトリル手袋の使用状況を把握する目的で作成されたアプリだ。工場の製造ラインでは、作業員全員に対して、作業前と作業後に使用したニトリル手袋に破損がないかを紙に記録してチェックを行っていた。これを現場のスタッフがForguncyでアプリ化したとのこと。生産ラインに入るスタッフがアプリにチェックをつけ、1日の作業が終わり問題ないことを確認して班長が承認ボタンを押下。これによりデータがロックされ、改ざんできない仕組みが構築されている。

「ExcelのVLOOKUP関数も知らない工場のラインメンバーが開発したもので、以前は紙で行われていた運用をシステム化したものです。全くITの経験がないメンバーが作ったという意味で、とても画期的なことです」と︎井原氏は驚きを隠せない。現場へのアプリ開発教育に関しては、現在は、主にDX推進部のメンバーが現地に出向き、現場メンバーの横について一緒に開発しながら教育してくスタイルを取っている。

作業の前後に使用した手袋の破損を確認するチェック表
▲ 作業の前後に使用した手袋の破損を確認するチェック表

わずか3ヶ月で本稼働へ、業務効率化やペーパーレス、現場の意識改革にも貢献

Forguncyの開発から運用までのスピード感を示すものとしては、前述した販売見通し管理システムが挙げられる。このシステムは、もともと首都圏の営業部門がExcelで管理していた月次の売上見通しをForguncyに置き換えたものである。Excelで運用がうまくいっていたので全国展開することになったのだが、既存のExcelファイルでは処理が重くなるためForguncyで置き換えたという経緯だが、Forguncy導入を決定してからわずか3ヶ月後に本稼働を迎え、短期間でのシステム化に成功している。

「おそらく普通にシステム化した場合半年ぐらいはかかるでしょうし、コストも下手をすると10倍くらいはかかっていたはず。まさにForguncyだからこその効果だと実感しています」と稲手氏は評価する。

Forguncyがペーパーレスに貢献した例もある。
「関連会社の総務部門が、社宅利用者の水道光熱費を把握するために、毎月、領収書を送ってもらい、その金額をExcelの管理台帳に転記して集計する業務がありました。情報システム部のメンバーがForguncyでスマートフォンアプリを内製し、社宅利用者がスマホに水道光熱費などを入力、領収書を写真にとって添付して電子申請できるようにしました。これにより、総務部門にて毎月数時間かかっていた転記・集計の作業が30分以内で終わるようになったそうです」と稲手氏。ちなみにこのアプリを構築した情報システム部社員は、今年度、製造部門から情報システム部に異動し、その後にITを学んだ若手メンバーとのこと。Forguncyを知ってから約3か月で、業務運用にたえるアプリを構築できたことも特筆に値する。

Forguncyを現場ユーザ自身が内製する動きも少しずつ広まってきている。「ここ1年ほどで、特に工場において、Forguncyを自分たちで内製して、紙の日報を電子化していこうという動きが広まっています。DX推進部のメンバーが工場の現場に行き、横について指導することで、自分でアプリを開発できる、自分たちでDXを進めていける、という感触を、現場メンバーに持っていただけているようです」と稲手氏。現場にツールを展開するDX推進部にとっても、Excelに近いUIで、ノーコードでアプリを構築できるForguncyの存在は大きなものとなっている。

「今では工場側でForguncyを活用して従来のやり方を変えていこうという機運が高まっています。自分たちで開発し、改善していけるという意識に変わってきたことはすごく意味のあることです」と稲手氏。現場にツールを展開するDX推進部にとっても、現場に浸透させやすいForguncyの存在は大きなものとなっている状況だ。

Forguncyそのものについては、ユーザーサイドでの作りやすさを高く評価しながらも、基幹システム連携も含めた拡張性についても期待しているという。

「今は、生産系の領域では作業記録などへの活用を考えているところですが、外部DBとの連携、JavaScriptやWeb APIの利用など、基幹システムに近い領域のアプリ開発ができる機能が充実していることにとても満足しています」と評価する井原氏。

メシウスについては、Forguncyを導入している企業との意見交換会や充実したオンラインヘルプなど、さまざまな形で行われている情報提供に対して評価しているという。

効果概念図

入力業務の幅広い領域にForguncyを展開、啓蒙活動を通じてさらなる活用を促進

今後について、情報システム部として、Forguncyの活用範囲をさらに広げ、最終的には、『部門間でやり取りされる非効率なExcel業務の撲滅』を目指しているという。

「おそらく入力系の業務はForguncyでシステム化できるものが多いはず。私が担当している生産系の領域も含め、さまざまな応用を考えています」と井原氏は期待を寄せている。 一方で現場部門ではまだまだForguncyの認知が広がっていない。

「工場には一部広がっていますが、全社的な浸透度はまだまだで、”Forguncy”という名前を知らない人のほうが多い状況です。もっと多くの部署にForguncyを知ってもらい、自部署の業務効率化に役立てていただけるよう、社内に周知していきます」

一方で、急速に業務部門によるアプリ構築が広まっていくことへの対策も急務だ。
「現時点では草の根的な活動が中心で、まずは広めることを優先しているため、緩いルールで運用しています。しかし今後、現場部門でのアプリ構築がより活発化していくと、野良アプリ・属人化・品質不良による業務障害など、さまざまな問題も顕在化してくると予想されます。これに備えて、開発ガイドラインや、運用ドキュメントの定義、開発者教育など、統制面の強化が一方で必須と考えています。やることは山積みです」

DX推進に役立つシステム基盤として、Forguncyの活用をさらに進めていきたい、と、今後について語っていただいた。

【Forguncyの効果】

  • Excelで管理していた販売見通しをForguncyに置き換え、3ヶ月で本番稼働できた
  • RPAやワークフローでは対応できなかったExcel業務をWebシステム化できた
  • 工場の業務担当者が、自分で業務システムを開発できるようになりDXへの意識醸成が進んだ

カルビー株式会社

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本社所在地 〒100-0005
東京都千代田区丸の内1-8-3 丸の内トラストタワー本館22階
主な事業
  • 菓子・食品の製造・販売
設立日 1949年4月
URL https://www.calbee.co.jp/
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