株式会社テック長沢様

『Forguncy』でExcelでの管理をWebシステムに移行。業務効率化や迅速な経営判断を実現し、従業員の積極的なIT活用も促す

株式会社テック長沢様

※ 事例公開日:2022年7月19日
※ 事例記事の内容や所属は取材当時のものです。

本事例は、BOXIL SaaS AWARD 2023 部門1位(※)を受賞した導入事例です。

株式会社テック長沢は、金属切削加工を中心とする加工技術を用いて、自動車や建設機械、印刷機などの部品を展開しています。同社では、工具の種類や取り付け方法など、製品を製造するための条件をExcelで管理してきました。ところが製品の種類が多岐にわたるため、Excelファイルが増え続け、管理は煩雑を極めていたといいます。この問題を『Forguncy』で解決したのが、専務取締役の長澤博氏です。長澤氏は、売上予測など経営分析に必要な指標を表示するシステムや、従業員の評価・教育を行うシステムも開発。『Forguncy』を活用した同社の取り組みは、経済産業省の「DXセレクション2022」の優良事例に選定されました。

長澤氏はどのような経緯で『Forguncy』の導入に至ったのでしょうか。そして『Forguncy』で内製したシステムをどのように社内に定着させ、IT活用に前向きな風土を醸成していったのでしょうか。長澤氏に話を伺いました。

※ エントリーされた事例をもとに、企業の働き方改革やDX推進を支援したサービスを、企業や社会への貢献度を踏まえてスマートキャンプ株式会社が独自に選出

【課題】製造条件を記したExcelファイルが膨大で、管理が煩雑

情報の更新や閲覧、共有に手間取っていた

同社は、自動車部品から大型印刷機のフレームまで、多様な製品を手がけてきました。製品ごとに異なる工具を機械に取り付けたり、工具の取り付け方法を調整したりして、顧客の様々なニーズに応えています。同社では、再発注時に同じ部品を製造できるよう、製造条件をExcelで管理。作業現場には紙で印刷したものを掲示して現場で視認していたとのこと。製造時に条件が変わった場合は紙に手書きで追記し、元のExcelファイルを修正するという管理方法だったそうです。

ところが製品の種類が多岐にわたるため、Excelのファイル数が多くなり、共有ストレージでの管理が煩雑に。また、紙に追記された製造条件を修正する場合は該当のExcelファイルを探し出す必要がありました。そのうえ、情報を共有するには、ファイルをPDF化してメールで送るなど手間がかかっていました。

専務取締役 長澤 博様

専務取締役
長澤 博様

長澤氏は、製造条件を一元管理するシステムを構築する必要性があると考えました。ただ、システム開発を外部委託すると、時間やコストがかかります。また、要件定義に失敗し、使いにくいシステムが構築されるリスクも懸念していました。

前職のIT企業でWebアプリケーション開発を担ってきた長澤氏は、自らWebアプリケーション開発することを検討しました。そこで、ふと頭に浮かんだのが『Forguncy』でした。

「『Forguncy』のことは発売時から知っていました。『便利そうだから、いつか利用したい』と思っていたのです。だから、社内で手軽にWebアプリケーションを開発したいと考えたとき、すぐに『Forguncy』が思い浮かびましたね。」(長澤氏)

『Forguncy』には、すべての機能を90日間試せる無料評価版があります。長澤氏は、無料評価版を使って、名簿管理システムなどを開発。想像以上に速くアプリケーションを構築できたことが決め手となり、2018年5月に『Forguncy』を導入しました。

導入前の課題

Forguncy導入前の課題と導入の経緯

  • 部品の製造に必要な条件を記したExcelファイルの数が膨れ上がり、管理するのが大変だった。
  • システム構築を外部委託するとコストがかかるうえ、要件定義に失敗するリスクがあったため、社内で手軽にシステム開発できるツールを検討した。

【開発】ユーザーの改善要望を迅速に反映しブラッシュアップしていった

従業員が「便利さ」を実感できるよう身近なシステムから開発

実は長澤氏は、『Forguncy』の導入以前にタブレット端末を製造現場に配置し、Excelファイルを端末上で操作するよう従業員に促したことがありました。ところが、端末の利用が現場に浸透しなかったため、結局課題を解決できなかったといいます。

同様の失敗を繰り返さないために長澤氏が心がけたのは、「従業員に徐々に慣れていってもらうこと」でした。まずは、勤怠管理や休暇申請など、従業員が日常的に利用するシステムを『Forguncy』で開発。勤怠の入力や休暇の申請などが便利になったことを従業員に実感してもらい、『Forguncy』に対して前向きなイメージを持ってもらおうと考えたのです。

「60代の職人さんなど、普段パソコンを使わない方が少しでも利用しやすいように工夫しました。たとえば休暇を申請する際は、キーボードを使わず、必要な項目をタッチパネルのプルダウンリストから選択してタップするだけで完結するようにしました。」(長澤氏)

Excelの画面構成をWebアプリケーションで再現

従業員に『Forguncy』に慣れてもらうと同時に、部品の製造条件を管理するWebアプリケーションを『Forguncy』で開発していきました。過去の失敗で「使い勝手がよくないシステムは現場に定着しない」と痛感した長澤氏は、従業員が利用しているExcelと同じ画面構成を『Forguncy』で再現することにこだわりました。

製造現場の従業員には、Webアプリケーションを使い慣れていない方も少なくありません。従業員の抵抗感を減らすために、Excelから見た目をできるだけ変えないようにしたかったのです。その点、『Forguncy』はExcelのような感覚で開発できるため、Excelの画面構成を再現しやすかったですね。」(長澤氏)

Webアプリケーションシステムが形になると、すぐに従業員に使い勝手を試してもらいました。長澤氏は、「ここが使いにくい」「こうしてほしい」などの意見や要望に対して、迅速に対応。要望を受けた30分後に、改善した機能を従業員に試してもらうこともあったといいます。

「素早く対応することで、『こんな項目もほしい』などと追加の意見をもらえるようになり、従業員が使いやすいシステムに近づけていくことができました。このように、改善点を逐一反映していけるのが、『Forguncy』のメリットだと実感しています。」(長澤氏)

効果の概念図

基幹システムと『Forguncy』のデータベースを結合し、経営分析に活かす

上記の開発を経て、長澤氏の発想は広がっていきます。「社内で管理しているすべてのExcelを『Forguncy』のシステムに置き換えられるのでは」と考えたのです。

まず長澤氏が着目したのが、製造部や営業部の課長がExcelで集計していた経営指標でした。同社では、製品の受注情報やお客様情報、工具の購入履歴など、経営に必要な情報を全て基幹システムのデータベースで管理しています。製造部や営業部の部長は、売り上げ予測などの経営指標を役員から尋ねられるたびに、基幹システムのデータベースを検索し、エクセルで集計していました。長澤氏は、基幹システムの情報をワンボタンで参照したり、集計したりできれば、部長の負担を減らせるうえに、経営判断に必要な情報を役員がすぐに確認できると考えたのです。

課題2の概念図

そこで長澤氏が開発したのが、「マネジメントサポートシステム」でした。マネジメントサポートシステムの特長は、基幹システムのデータベースと『Forguncy』で構築したデータベースの情報を繋げて集計できることです。

Forguncyで開発した売上予実管理表の画面
▲ Forguncyで開発した売上予実管理表の画面

まず「顧客別売上管理表」に、営業部の部長が売上見込み値を入力すると、その値は『Forguncy』で構築したデータベースに登録されます。

この売上見込み値と、基幹システムで管理している売り上げ情報を結合して表示したのが、「日次工場出荷進捗」(下図)です。赤い領域が示しているのは、営業部が入力した売上見込み値。緑の棒線「工場出荷額実績」は、基幹システムに登録されている「実際の売上値」を示しています。そして青の棒線「工場出荷額残高」は、基幹システムでは出荷予定として管理されているものの、未計上になっている売り上げを指しています。つまり、グラフから日次の売上予測や、製造・出荷の進捗状況が確認できるのです。

日別の工場出荷進捗画面
▲ 日別の工場出荷進捗画面

マネジメントサポートシステムの構築に欠かせなかったデータベースの構築について、長澤氏はこう語ります。

「一般的な開発の場合、データベースをしっかりと設計することが鍵となります。設計が甘ければ、カラムの追加や変更が発生するたびに、SQLを書き直さなければならないからです。一方『Forguncy』では、必要なカラムなど随時追加できましたし、画面との連携も容易だったので、柔軟にデータベースを設計できました。」

また長澤氏は、思い描く機能をどのように実現すればいいかがわからないときは、テクニカルサポートを利用したといいます。

「使いたい機能が『Forguncy』にはない場合でも、『代わりにこんな方法がありますよ』と提案をいただいたり、サンプルプログラムをいただいたりしたおかげで、やりたいことを実現できたこともありました。」(長澤氏)

Forguncy開発のポイント

  • 身近なシステムから『Forguncy』を導入し、日常業務が便利になったことを従業員に実感してもらうことで、『Forguncy』を社内に定着させていった。
  • 『Forguncy』はExcelのような感覚で開発できるため、従業員が利用してきたExcelの画面構成を再現することが容易だった。
  • 従業員の改善要望を迅速に反映できるため、従業員を巻き込んだ開発が可能だった。
  • 『Forguncy』では、柔軟にデータベースを設計できた。

【効果・今後の展望】『Forguncy』で業務効率化や経営判断の迅速化を実感。従業員の積極的なIT活用にもつながった

業務効率化や迅速な経営判断を実現

「部品の製造条件を記したExcelをWebアプリケーションに置き換えたことで、紙のファイルを探したり、共有したりする手間が省け、業務が格段に効率化した」と長澤氏は振り返ります。

また『Forguncy』でマネジメントサポートシステムを内製した結果、迅速な経営判断ができるようになったといいます。

例えば2022年4月、『自動車の国内生産販売台数が減少した』というニュースがありました。弊社の主力製品は自動車部品ですが、マネジメントサポートシステムで売上見込みに問題がないことをすぐに確認できました。このように、ネガティブな情報を目にしても、見えない不安にとらわれにくくなりましたね。設備投資などにも躊躇せずに踏み切れるようになったと実感しています。」(長澤氏)

効果の概念図

『Forguncy化しませんか?』が合言葉に

同社は2021年から、DX戦略として「マネジメントの改革」「技術力のダントツ向上」を掲げてきました。デジタル技術やデータ分析を業務に積極的に取り入れることで、生産性向上を目指しています。

DX戦略を実行するには、従業員一人一人の意識の変革が必要不可欠です。その点について長澤氏は「『Forguncy』を導入した結果、従業員のIT活用への意識が変わっていった」と振り返ります。

「積極的にITを活用していこうという意識が社内全体で高まっています。それは、『Forguncy』で構築したシステムの利便性を従業員に実感してもらえたからではないでしょうか。最近は従業員間で、『Forguncy化しませんか?』が合言葉になっています。棚卸など従業員からの提案で『Forguncy』でシステム化した業務もありますね。」(長澤氏)

このように『Forguncy』を活用した同社の取り組みは、経済産業省の「DXセレクション2022」の優良事例にも選定されています。

Forguncy化しませんか?

今後は従業員の評価・教育にも『Forguncy』を活用

長澤氏は現在、従業員の評価や教育を行うタレントマネジメントシステムも『Forguncy』で開発しています。人材育成を担う総務部の部長や課長と話し合いながら、部署ごとに必要なスキルを表示し、そこに従業員の評価を入力できる画面を構築してきました。教育者はこの画面を確認しながら、従業員ごとの教育計画や目標を作成することができます。さらに「動画マニュアルソフト tebiki(テビキ)」で作成したマニュアル動画をスキル欄に紐づけることで、従業員教育への活用も可能になりました。

タレントマネジメントシステムのスキル一覧
▲ タレントマネジメントシステムのスキル一覧
社員ごとにどのスキルを取得し、どういう評価を得ているのを可視化したスキルマップ
▲ 社員ごとにどのスキルを取得し、どういう評価を得ているのを可視化したスキルマップ

タレントマネジメントシステムについて、長澤氏は「今後も改良を加えていく」と意気込みます。例えば、スキルの習熟度を数値化して従業員の能力を定量的に測ったり、部署ごとに従業員の成長度を分析したりできるようにする予定だといいます。また、従業員が自分の評価を確認し、目標作成に役立てることも計画しています。

「従来の評価体系には、上司のイメージが評価に影響を及ぼしてしまったり、伝達不足によって従業員の努力を正確に評価できなかったりするリスクがありました。スキルを定量化し、見える化することで、成長した従業員に対する評価の取りこぼしが減ることを期待しています。」(長澤氏)

同社は、製造現場のみならず、経営や教育など、多方面にわたって『Forguncy』を導入し、課題を解決してきました。同社の可能性は、今後ますます広がっていくことでしょう。

テック長沢様ではForguncyを活用し製品製造に紐付いた社員のスキル管理システムを新たに開したとのこと。内容については SaaS情報メディアのBOXIL Magazineで紹介されています。
BOXIL Magazineでテック長沢様の事例を読む

全体まとめ

  • Excelファイルを『Forguncy』で共有することで業務効率化を実現できた。
  • 『Forguncy』改善点を逐一反映できるため、従業員を巻き込んだ開発がしやすい。
  • データベースの結合や外部マニュアルとの連携などの工夫次第で、経営分析や従業員教育をはじめ多方面にわたってIT化を推進できる。

株式会社テック長沢様

ロゴ:株式会社テック長沢様
本社所在地 〒945-0114
新潟県柏崎市藤井1358-4
主な事業
  • 自動車部品や各種部品の試作、量産機械加工、組立
  • 大型、大物部品の機械加工
  • 小ロット多品種部品の機械加工
  • 産業用機械等の組立、配線、調整、デバッグ
設立日 昭和38(1963)年10月1日
URL https://www.tec-naga.com/
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